|
この状況はなんだろう あえて言葉で表そうとするなら、ええとなんていうんだっけ ああ、『立ちすくむ』だ 確か、こうだったはずだ 私はふと現実に気がついて 取り返しのつかない無力を思い知って 危機感すら押しやった自分に失望して それで、どうしたんだっけ どうしたんだっけか 積み上がっていく過去の亡骸、すなわち 薄笑いの自分と目が合って 何も変わらない、進まない自分に呆然として 『貢献』、なんて殊勝な言葉を思いついて 手首を噛み切りたくなって、 それで それで どうしようか どうせこの自分だってくったりとした死骸になるのに 持ち物を片づけられないまま終わりを迎えるに決まっているのに 何故だろう 戻る感覚が震える指を噛ませる 溜息が通る喉がひくりひくりとこみ上げるものをせき止める なんていうんだっけ、これは そうだ確か 『恐怖』か 今更何を、と思ってもそれは私の体に覆いかぶさってはなれない 虚無すらおこがましい自分にその感覚はぞっとするほど激しい 息ができなくなって、目まぐるしく砂嵐が走る どうすればいい どうすれば ねえ どうしよう ねえ! 「―――」 ぶつりと回線が切れた、気がした 膝から力が抜け眼球は残像を映し頭はエラー音を狂ったように流し続けている こうしてこの私も死んでゆくのか、と片隅で考える 久しぶりに動いた足はいつのまにか体重すら支えられなくなっていた すべてが滑稽だった とさり、と亡骸の山に倒れこむ 過去に埋もれるということは存外気楽なものだった ← |