張りつめた空気を拳で叩いた
「消えるな」
きっと瞬きをすればもう出会えない
君は目を右手で覆ったまま、口元を歪めたまま
「泣くな」
残酷な言葉を吐いた
右手は微動だにしなかった
一方通行の恋より酷いすれ違いを何度反芻すればこの壁を壊せる
その未来と理想を遮断する手を引きはがせる
幾度も繰り返す単純な懇願は君の鼓膜しかふるわせられない
僕は意味のない絆を握り締めながら、泣く
「消えるな」
君は、口端を懸命に釣りあげそして、俯いた
無力な水滴が指の隙間から落ちた
そのかすかな首の動きは 頷けない彼の精一杯だった